駅までの道をおしえて
駅までの道は、だらだらとした坂をくだる道。毎朝、律儀に季節の花たちが見送ってくれます。「西の風」で名前を覚えた蘭の一種の「クマガイソウ」さん。名前の由来は、花の形を熊谷直実(源平・鎌倉時代の武将)が背中に背負った母衣(ほろ)に見立てて名付けられたそう。
足元では、蟻たちが眠そうに顔を擦りながら、出勤の真っ最中。
つつじたちも、朝日を浴びて顔を輝かせています。
坂の途中の民家の牡丹。
たんぽぽ。
そんな駅までの途中で、ふぅっと思い出したのが、敬愛する作家・伊集院静先生の「駅までの道をおしえて」という本。冒頭の短編が表題と同じ名前の小説。主人公サヤカが、線路際で、電車がやってくる方向を、うしろ手に組んで少し足を開いてたっている。ポニーテールが揺る。その少女の風情が表紙の装画に描かれている。これがいい。この少女を思い出してしまったのです。(文庫本は、白い背景ですが、単行本は薄い青磁のような青色が背景。だんぜんこっちがいいのに、どうして文庫では変えてしまったのだろうか)
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駅までの道をおしえて (講談社文庫 い 63-17) 著者:伊集院 静 |
伊集院静さんの公式ホームページでのこの短編小説の解説は・・・
◎解説
愛犬ルーの死を受け入れられず、一人思い出の道、原っぱを歩く少女。偶然の出会いが、フセ老人とルースという名の犬を結び付ける。フセ老人もまた、幼くして亡くした息子・コウイチローを思いながら生きてきたのだった。二人は、ある日、一緒に夏の海を見に小さな旅に出る……。生と死。「もう一度逢いたい」という強い願い。人の哀しみと希望とを夏の強い光とともに描き出した表題作「駅までの道をおしえて」他、かけがえのない時間を胸に生きる人々に贈る、8つの物語。
日本の旬のような新緑にあふれる季節は、こんな小説たちを読みながら、ビールを飲み、次には少し強めの酒に代えて吹き行く緑の風に顔をさらすのがいい。人生で、あと何度、この風に吹かれることが出来るのだろうか。合掌。
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駅までの道をおしえて 著者:伊集院 静 |
ちなみに、装画は井筒啓之さんという人。一冊の本から、いろんな出会いが始まる。
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